May 07, 2004

クラブDJも困るよ!J-WAVE:JAM The Worldの放送内容

facethemusicテレビ見ようよ!(仮):シンポジウム特設ページ
下でも書いたのですが、皆さんに見ていただきたいので別エントリーで記述します。昨日J-WAVEのJAM The Worldに、シンポジウムを開催された高橋健太郎さんが出演され、今回のCD輸入規制の問題を語った内容をfacethemusicさんが文字に起こしていらっしゃいます。とても分かりやすく、ゆえになおさら悲しくなります。

シンポジウムやここ数日の各地での話から、著作権法改正が行われた場合に想定される影響範囲を表にしてみました。
横幅があるので小さめのフォントでご覧ください。
※ご注意:この表の通りになるというのが確定したわけではなく、こうなる可能性があるという話ですので誤解なきよう。詳しくは、シンポジウムの内容やJAM The Worldの放送内容をご確認ください。
国内盤 (主に)輸入盤
レコードの種類 (A)邦楽国内盤 (B)洋楽国内盤 (C)国内盤が出ているもの一般(洋楽等) (D)国内盤は出てないけど今後売れる可能性のあるアルバム (E)他のアルバムの国内盤が出てるアーティストのまだ国内盤の出ていないアルバム (F)国内盤がいくつか出てるアーティストが売れる前にインディーズレーベルで出したアルバム (G)国内盤が出ている曲のレアなRemix盤(当然国内盤はない) (H)国内盤が出ておらず、発売の見込みも極めて低い海外盤 (I)邦楽還流盤(海外ライセンスされた日本曲の逆輸入盤) (J)海賊盤(ライセンスされていない業者が複製したものの逆輸入盤)(元々違法) (K)ブートレグ盤(正規のレコードが出ていないライブなどの録音盤)
日本国内の市場規模 1億7000万枚 7000万枚 6000万枚 68万枚 ほとんどない 不明
(1)文化庁/レコード業界が輸入制限したいと説明している範囲







制限
但しこれは本来海賊盤ではない
制限

(2)著作権法改正案を文面通り解釈した場合に輸入制限を受ける範囲

制限





制限


(3)レコ協依田会長の提出した確認書により輸入制限されないとされる部分

制限解除
但し、5大メジャーのみ、またRIAA,IFPIは国内・国外区別のない対応を要望しているため疑わしい。








(4)著作権法改正が行われた場合影響を受ける範囲(販売業者)

制限
後で輸入規制対象になるリスクが高いので輸入し辛い
税関が判断できないので止められてしまう
輸入可能だが、税関が判断できないので止められてしまう可能性が高い リスクが高いので輸入し辛い
税関が判断できないので止められてしまう
輸入可能だが、他の輸入盤の影響を受け流通しにくくなる可能性あり 制限
元々あまり流通していない 不明だが、他の輸入盤の影響を受け流通しにくくなる可能性あり
(5)著作権法改正が行われた場合影響を受ける範囲(一般消費者の個人輸入)

税関が判断できず余計に時間がかかる可能性が高い 元々あまり流通していない 税関が判断できず余計に時間がかかる可能性が高い
どんな人が影響を受けるの?(例)

・今まで輸入盤を購入していた洋楽/ワールドミュージック/アジアンポップス等の輸入音楽ファン一般
・輸入盤販売店
・音楽評論家
・コアな洋楽ファン
・輸入盤販売店
・音楽評論家
・クラブDJ
・輸入盤販売店
・クラシック現代音楽ファン
・伝承音楽系のファン
Jazzファン
・欧米以外の輸入盤ファン
・輸入盤販売店
・安価な還流盤を購入していたJ-POPファン
・ディスカウントショップ

・特定アーティストのコアなファン
レコードの種類 (A)邦楽国内盤 (B)洋楽国内盤 (C)国内盤が出ているもの一般(洋楽等) (D)国内盤は出てないけど今後売れる可能性のあるアルバム (E)他のアルバムの国内盤が出てるアーティストのまだ国内盤の出ていないアルバム (F)国内盤がいくつか出てるアーティストが売れる前にインディーズレーベルで出したアルバム (G)国内盤が出ている曲のレアなRemix盤(当然国内盤はない) (H)国内盤が出ておらず、発売の見込みも極めて低い海外盤 (I)邦楽還流盤(海外ライセンスされた日本曲の逆輸入盤) (J)海賊盤(ライセンスされていない業者が複製したものの逆輸入盤)(元々違法) (K)ブートレグ盤(正規のレコードが出ていないライブなどの録音盤)
国内盤 (主に)輸入盤

(1)と(2)を見比べてもらうとわかるのですが、著作権法改正にあたってレコード協会や文化庁が議員に説明したとされる範囲と、実際の著作権法改正案が輸入制限する範囲が違っています。
あと、(4),(5)を見てもらうと分かりますが、直接的に輸入制限を受けない範囲に関しても、インポーターや販売業者のリスクが高くなるために、いままでより入手し辛くなり、また、税関で止められる可能性が高まります。

※:解釈や数値に誤りがあればご指摘ください。


040508追記:愚者の戯言さんで言及されていたので、フォローアップしておきます。(トラックバックじゃなくても、コメント可能なので、おかしいと思ったところは書いていただけると有り難いです。)

まず、68万枚に「(たった)」と付けていたのが誘導ではないかとのことですので、消しました。基本的に個人的な見解を書いているつもりなのであまり気にしてなかったのですけど、アクセス数も増えてきたし、多少気をつけようと思います。

あと、レコード協会がなぜ、(I)の還流盤を制限しようとしているかという点に関して説明を付記しておきます。
それは、上記の表にはない、東アジア市場での売り上げ増を目指しているからと説明されています。シンポジウムを開催された高橋健太郎 さんのサイトMEMORY LABのBBS等でも話題になっていましたが、 日本レコード協会は、2002年現在海外にライセンスされている465万枚のうち約15%となる68万枚の還流盤が国内で流通しており、 2012年にはこれが18%、1265万枚になると試算しております。(同時に、これらのうち、最も伸び率が大きいと見込んでいる中国でのレコード価格ですが、2002年に238円が2012年には296円になると予想しています)
 参考:逆輸入CD(Yomiuri-On-Line) 、国会通信 No.609、レコード協会が消費者団体に説明した資料(PDF)が全国消団連のページから参照できます。

Music Liberation Frontさんのこのエントリーによると、この65万枚の根拠は、株式会社文化科学研究所「日本音楽ソフトの還流量調査報告書」(2003年11月)という調査資料だそうです。Music Liberation Frontさんでも考察されているので、参照してください。
そして、東アジアでの需要予測の根拠資料が、三菱総研が日本レコード協会に提出した「アジアにおける日本音楽ソフトの需要予測」だそうです。 この資料によると、東アジア4国の2012年の(日本ライセンスの)レコード需要は7090.8万枚と、2002年に比べて15倍程度を予測しており、特に中国の伸び率が大きく、2002年比で124.3倍(ライセンス数で)を予測しています。(まぁ、この楽観的な予測には疑問もありますが…) これに合わせて還流盤も増えてくることを懸念しています。
更に、国内の需要は2012年には1億5635万枚と予想されており、そうち1265万枚の還流盤が流通すると、国内需要の内の7.5%を占めることになり、影響が大きく音楽産業が衰退するので、還流防止策をとらせて欲しいというのが消費者団体に対する説明です。

つまり、この表に載っていない東アジア諸国での需要増に対してビジネスを伸ばしていきたいと考えるが、その副作用でもある還流盤が国内に入ってくると国内のビジネスにも影響があるから、流入を止める措置を取って欲しいというのが、今回の著作権改正案のそもそもの発端として説明されているものです。

以下個人的な見解ですが、私は邦楽はたまにしか買いませんし還流盤も買ったことがないので、還流盤を制限する事はなんら反対しません。しかし、還流盤だけでなく輸入盤全般に影響を与えるような文面の法案で制限されるのは困った話だと思っているし、そもそも本来著作者の表現行為に対する権利を守るための著作権法において、輸入/輸出という全くビジネス的な支分権(=純粋に仲介業者だけが権利行使できるような権利)を定めるのは何か違うんじゃないかと思っています(輸入や輸出を表現行為にしているアーティストって聞いたこと無いし… 法律は専門ではないのでおかしかったらこれもご指摘ください)。そういった意味では、「愚者の戯言」の著者の方と基本的に考えは違っていないと思っております。

あ、あと、今回のようなむりやりな進め方をした場合、音楽ファンの反発によりレーコード協会が心配している2012年の7.5%の還流盤による影響以上の負の影響が国内市場に出てくるんじゃないかと思いますよ。そこのところをレコード協会の方々は考えるべきだと思います。
以上です。
by CAB at 04/05/07 04:25
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※非公開です

Comments

間違いのご指摘、ありがとうございました。書いているうちにごちゃごちゃに・・・あふん。(-_-;

by Funny Lab on 04/05/10 02:56

そうですね、積極的賛成というわけではないのですがあくまで私個人的には反対はしないという立場です。

松永さんのおっしゃるように、日本市場から火が付いてアジア諸国でいろんなバリエーションの商品が生まれるような場合には、それを入手しづらくなる可能性がありますね。

by cab on 04/05/09 12:53

還流禁止に賛成とのことですが、
・女子十二楽坊のように日本版が最初に出ているアルバムでは海外盤が買えなくなる
・つまり、「邦楽の還流」と「アジア盤の輸入」の境界は曖昧になりつつある
・日本版と海外盤で内容が少し違う場合でも買えなくなる

このような意味で還流制限には大反対です。

by 松永 on 04/05/09 12:43

まず、この表に関してですが、全てを網羅するために見易さが失われた場合、逆にこの表によって整理した効果が薄れてしまうと思っています。既に一部では「この表をみただけで、複雑だ!って印象を受ける」というような指摘も受けております。このため、ご意見全てを反映させるつもりはありませんのでご了承ください。

今現在、シンポジウムの内容を理解する補助資料的位置づけになれば充分と思っています。

とは言っても、こういう音楽ファンも困るよね、とか、いろんなコメントは全く大歓迎です。

--
日米租税条約
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo064.htm
の話があったり、
2chで見たのですが、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040507-00000216-kyodo-ent
この記事にあるように、海賊品が個人レベルでも国内持込が禁止になる方向であったり、
財務金融委で審議された「関税定率法等の一部を改正する法律案」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/15903159006.htm
で、海賊品輸入者を権利者に通報したり記録したりするする制度が続々整えられていたりと、著作物を含む知的財産関連品の国際流通は徹底的に正規化(ビジネス化?)を図る方向で動いていますね。
今回の著作権法改正はそれらの一環でもあるという風に思えてきました。

(だからって今回の著作権法改正案がよいやり方だとは思っていないですよ)

しかし今のところ、モノの流通制御(しかも抑制する方向)ばかりに腐心していて、肝心の情報の流通には頭が追いついて行ってないような気がします。でも、下手をすると、そのうち情報の流れにも障壁を作ってしまいかねないような動きなんで気持ち悪いです。
プロ化、ビジネス化した知識の流通しかなくなったときに、そこに文化と呼べるものが残るのか?私は懐疑的です。

by cab on 04/05/08 18:13

(J)の海賊版については、今回の改正著作権法で制限するまでもなく
元々違法であることを表中に書いておいた方がいいんじゃないでしょうか。

by kuropanda on 04/05/08 16:26

この分類ですと(I)は何となく「制限してもいい」ように見えてしまうのですが、「日本でもデビューしたアジアン・ポップスファン」というのも入れていただきたいと思います。というのは、還流盤は「安いから買う」というわけではない人たちもかなりの割合を占めると思われるからです。
あるいは、(C)を「欧米」「その他」に分けていただいてもいいかもしれません。

by 松永英明 on 04/05/08 16:21

kcrtさん:
kcrtさんが懸念するような場合に合致するような質疑がなされていないので、正確なところは分かりません。
今までの質疑から考えると、「同じ曲が入ってると同じアルバム」という解釈という事なので、(日本での発売禁止の表示等があれば)輸入規制の対象になると考えられるかと思います。

by cab on 04/05/08 13:14

「国内版と海外版の言語が違う」てのはどうなるんでしょ?例えば、BoAのID;Peace Bなら、同名のアルバムが日本語と韓国語で出てます。

by kcrt on 04/05/08 10:15

MALさん、ご指摘ありがとうございました。カラムは追加してみました。
基本的には「国内盤が出ておらず、発売の見込みも極めて低い」ものは輸入可能だと思うのですが、どのような影響が出るのかきわめて読みにくい状況かなと思います。

by cab on 04/05/08 04:25

一点、気づいた点がありましたのでコメントさせていただきます。

「国内盤が出ておらず、発売の見込みも極めて低い」という分類もあるのではないか、と思ったのですがどうでしょうか。

例えばクラシックの現代音楽ものなどでは、全世界プレス500枚とかの少部数でリリースされるものなどが多くあります。こういうのって、実は日本にはその内300枚くらい入荷したりするんだそうです(笑)。日本のマーケットって、例えばこういう部分でヨーロッパのマイナーレーベルを支えてたりもするんですね。

また世界各地の伝承音楽系のものも、現地プレスしかないものが多くありそうです。

知人には、ヨーロッパ各地の教会をメインに旅行している人がいるのですが、例えばある教会のパイプオルガンのCDなどは、まさに現地でしか買えないとのこと。

数としては取るに足らない規模のはずですが、この手のレコードを集めてきた人にとっては、買うものがなくなる、という問題になります。

やはり音楽ファン自体が減少してしまいますよね。

by MAL on 04/05/08 02:55
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