MAMORY LAB高橋健太郎氏が、今回のレコード輸入規制を盛り込んだ著作権法改正案の2つの根拠資料の矛盾点を突いている。ちょっと読むと何も間違っていないような気がしたんだけど、よーく考えたらやっぱしおかしい。自分なりに整理してみる:参考:万来堂日記さんでもこの問題を説明されています。
その2つの資料ではこんなことを言ってます:つまり、
- (1)アジアにおける日本音楽ソフトの需要予測(要約版)(PDF)(三菱総合研究所)
- 要約版のせいか、ちょっと1ページ目と3ページ目の関連が分かりにくいのですが、まぁ普通に解釈すると
(A)レコード輸入権創設
を前提条件として、
(B)海外での日本音楽需要が2012年には7090万枚になってる
と予想している。- (2) 日本音楽ソフトの還流量調査報告書(PDF)(株式会社文化科学研究所)
- (1)の資料の
(B)海外での日本音楽需要が2012年には7090万枚になってる
を前提として、
(A')レコード輸入権が創設されない
場合に
(C)2012年の還流量が、1265万枚になる
と予測しています。
(A)ならば(B)、 (B)かつ(A')ならば(C)
って言ってます。ところが、(A)と(A')は正反対の事を言ってるわけで、同時には成立しませんから、「(B)かつ(A')」という状況は存在しえません。よって、そこから導きだされた(C)は根拠なし という事になります。
本当に正しい(C)を求めたいなら、(A')ならば(B')を説明して、そこから(C')を求めるべきですね。
その場合、(1)の資料ページ2にも書いてある通り、東アジア諸国もレコード市場は下がってるので、(C')は現在の還流量と同程度もしくは減ることになると思われます。これでは還流盤対策は全く不要ですね。RIAJが訴えることができるのは、将来見込まれる(B)と(B')の差であり、そこを周辺の人々が納得できるかどうかにかかってくるという事かな。
個々のレポートだけ見てるとちょっと気づきにくいところ、高橋氏はよく気づかれたと思います。RIAJは意図的に2つに分けてレポートを作成していたとしたら、本当にずるがしこいですね。
お返事遅れました。どもども2501氏。
おっしゃること分かりました。それです、僕が変だと思った点は。でも、簡単に書き示すことができないうちに法案も通ってしまいました。残念です。
UDさんは、元ミーシャカフェの方ですね。たまに見てます。
いい事も書いてるんですが、私といろんなポイントで立脚点が違うので議論が難しいと考えてあそこには絡んでません。
自身あんまり褒められた態度だとは思いませんが、自分がここに関わっていられる時間も限られてるんで。
御無沙汰です。2501です。
ここで示したいのは(話の流れから考えても) (1) と (2) が矛盾するかどうか、
つまり (1) と (2) が同時に成り立つ可能性があるかどうかだと思い、そのつもりで集合論ちっくな分析を試みてみました。
(1) A ⊂ B
(2) B ∩ ¬A ⊂ C
というふうに解釈し、 (1) では A や B と C の関係が規定されていないことから (1) と (2) が矛盾しないように集合 C を決めることを試みます。
すると、次の条件を C が満たす場合のみ (1) と (2) は矛盾しないことが分かりました。
A ⊂ B ⊂ C
つまり、
「(A)レコード輸入権創設」すれば
(必然的に)「(B)海外での日本音楽需要が2012年には7090万枚になって」、そうすると
(必然的に)「(C)2012年の還流量が、1265万枚になる」
という命題が true になる場合のみ、(1) と (2) は矛盾しないことになります。
「本来(2)が主張するべき」点については、(2) を導く過程が明確にわからないぶんには主張しているひとに聞くことかなぁ、と思います。
ここでは、
> (B)海外での日本音楽需要が2012年には7090万枚になってる
> を前提として、
> (A')レコード輸入権が創設されない
> 場合に
という条件を B ∩ ¬A と解釈していますが(ysgmtさんの立脚点)、
これを B ⊂ ¬A と解釈すれば(CABさんの立脚点)、それ自体がすでに (1) と矛盾するため C をどうとっても当然 (1) と (2) は同時には成り立ちません(矛盾が起きます)。
読み返せば読み返すほど自信がなくなってきます(笑)。
……また、この分析が事態を打開する力を持つことは一切保証しません(苦笑)。
//話題転換
http://mainasu.egoism.jp/ud/archives/2004/05/24/1336-38.html
↑これを読んでみました。
私も個人的には法案には反対ですが、ここに出てくる「学者」さんの「望む結果を得るためには攻撃する相手が違うんでねーの?」という指摘は的を得ていると思います。
全体を通して読んでみても、この学者先生のが一枚ウワテな感じがしました。
ysgmtさん、ご指摘ありがとうございます。確かに仰るとおりでした。いや〜スッキリした気分になってたんですけど、詰めが甘かったですねぇ…
(A')が(A)の否定として、この場合言えるのは:
「(A')の場合でも(B)になりうる」という事ですね。
「(A')ならば(B)になるとは限らない」とも言えますかね。
そうすると、「(B)かつ(A')」の場合というのは、有り得るけれども、但し「(A')のとき(B)になるとは限らない」と但し書きが着くという程度ですね。
(2)で言えるのは、「(B)かつ(A')の場合(C)」だが、「(A')のときに(B)になるとは限らないために(C)になるとは限らない」と但し書きが付けられますかね。
「(B)かつ(A')の場合(C)」は常に真ではないと言えるぐらいですかね。
#ちきしょー命題理論うろ覚えなのが悔しい。どなたか命題理論で、(2)の問題点を説明できないですかね…
シチュエーションをxとして、(1)を「(∃x)A(x)⊃(∀x)B(x)」と解釈すると、(←これ自体自信なし)
ここから言えるのは
(∀x)B(x)∧(∃x)¬A(x)⊃¬(∀x)C(x) もしくは
(∀x)B(x)∧(∃x)¬A(x)⊃(∃x)¬C(x) ぐらいであって、
本来(2)が主張するべきなのは、
(∀x)B(x)∧(∃x)¬A(x)⊃(∀x)C(x) もしくは
(∀x)B(x)∧(∃x)¬A(x)⊃(∃x)C(x)
なんじゃないかと思うんだけど、そこに至ってないような気がしますが…どれもこれも限りなく自信ナシです。
だれか、検証して… _o_;
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旅鳥さんどうもです。
根拠少ないですよね、ほんと。要約版じゃない奴を見てみたいですよね。
この調査報告書を読んでみるに、そもそも(B)という事態になるか否か、その根拠に非常にあやふやなものを感じます。
(A)ならば(B)になるということについて検証されているとは言い難いという印象を受けるのです。
しかし、報告書を読んでいくのは、疲れますわ。気がつくともうすぐナイターが終わっちまう(笑)
論理的に「(B)かつ(A')」という状況は存在し得ると思いますが。
「(A)ならば(B)」は、「(A)でなく、かつ、(B)である」ことを否定するものではありません。
論理的に矛盾するのは「(A)でないならば(B)でない」が主張された場合です。この場合、その対偶「(B)ならば(A)」が成り立ち、「(B)かつ(A')」から「(A)かつ(A')」なる矛盾が導かれます。