CCCDは踏み絵にしかなっていない
Beastie Boys / To The 5 Boroughs←
discobeach
ここのトコロ輸入権のネタも尽きてきたせいか、またCCCDに関して取り上げているサイトが多いですね。気になったのはホンダレディまるさんの「Beastie Boys / To The 5 Boroughs」というエントリー。プロというのは音楽で金を稼いでいる以上、その稼ぎを上げてくれる業界や仲間と一貫した姿勢を示すべきだという考えには同意できるけど、やっぱり最終的に「お客さん」の方を向いていないんじゃないのかって所が気になる。
簡単に言えば、今のCCCDはコピー制御としてはほとんど機能していないせいで、消費者から見た場合、アーティストが「お客」の方を向いているか、「レコード会社」の方を向いているかっていう踏み絵にしかなっていない。
【補足追記:ここでの論旨は、「『CCCD回避しました』とか『残念ながらCCCDになってしまいました』とかアーティストが表明しなかった場合、そのような踏み絵としてどっちを向いているのか安易に判断されてしまう」という事が言いたかったのです。】
もしかしたら技術的なことを余り知らないアーティストもいるかもしれないので、ちょっと考えてみて欲しい。
図を描いてみたんだけど、CDってのはRedBookって規格書があって、そこでルールが決まってる。でも、CCCDというのはCDの規格では許されていないデータのエラーを混ぜ込んでそれを再生するCDドライブを混乱に陥れることでコピーの制限を行うという、いうならば
技術的に退化するようなアプローチでコピー制御を行っているのです。
なぜエラーを使ってコピー制御が出来るのかというと、CDプレーヤーとPC用のCD-ROMドライブのエラーに対する耐性の違いがあるからなのです。
音楽の再生はある程度エラーが多くてもとりあえず音としては聴こえちゃうから、普通のCDプレーヤーだとエラーを補正しながらとりあえず再生できるうちは再生しちゃおうという考えで出来てる。すなわち、音楽CDプレーヤーはエラーに対する許容範囲が大きいわけです。一方、PCについてるCD-ROMドライブはデジタルデータを正確に取り出せないと困っちゃうから、エラーに対する許容範囲が狭いんですね。CD-ROMに焼いたExcelのデータが読み出してみたら違う値になってたら困るもんねぇ。
この2種類のCDドライブのエラー許容範囲の間に入るような(まる2)の範囲になるようにエラーの量を調整したCCCDを作ると、プレーヤーでは再生できるけどPCではコピーできない、すなわちコピー制御として機能することになるわけです。
でも、実際どこまでエラーに耐えられるかってのはCDプレーヤーやCD-ROMドライブ毎に違うから、(まる3)の性能のプレーヤーだと再生できないし、(まる1)の性能のCD-ROMドライブだとだいたいのCCCDがリッピング出来ちゃう。CCCDの事をちょっと知っている人はPCのCD-ROMドライブだってどのメーカーのどの製品を選べば問題なくリッピングできるか知ってるから、そういうドライブを選べば大抵のCCCDはリッピングできちゃうわけです。
そして、各ドライブのメーカーも年々エラーに対する許容範囲を広げてきてるから年々(まる1)の範囲は広がってきている。
更に最近はレコードメーカーも(まる3)のようなプレーヤーですら再生できない事態を恐れてエラーをかなり減らしてきていて、実際ほとんどのCCCDが(まる1)の範囲に入ってしまってコピー制御として機能していないのが実情。
以下私見だけど、もはや本当にコピー制御がしたいわけじゃなくて、株主に我々が儲からないのはコピーが氾濫しているせいで、著作権を守るためにCCCDを導入して頑張ってるんですよ〜ってフリをしているだけなんじゃないかと思うわけです。
だから、CCCDってのは踏み絵にしかなってないと僕は思うわけです。
音楽配信メモさんで紹介されていた戸田誠司氏のアルバムCD-EXTRAのReadme.txtの一文、
Copy control of this CD would be up to you.
このCDのコピーコントロールはあなたのハートにある。
ステキですね。
参考:
これってAUDIO-CDなの?(CCCDのエラーをビジュアルで見ることができます。必見)
CCCD(コピーコントロールCD)No.1(moto's blog)
メモリーテックが原音並み技術 CCCD音質の劣化防止
by CAB at 04/06/16 02:39